ルスデランパラサッカースクールの日常

~注意をコントロールする脳~

1.注意の時間窓

注意は、時間と大きく関わっていることがわかります。過去と未来と現在を意識するととても難しくなってしまうので、今起きていることと、自分がそれに対して認識していることが一致した時に、注意が向いているということになるとわかりました。3秒の窓というのが、実際に音を鳴らして、自分が何秒音を認識していたかということを調べると3秒よりも実際に音が長い場合は、短く感じ、3秒よりも音が短い場合は、音が長く感じるみたいです。これは、正直なところどういう意味を持つのかはっきりとは、わかりませんが、注意をコントロールすることができる時間が3秒という理解で正しいのか。もう少し読み進めていって、理解を深めたいと思います。

 

2.注意の脳内メカニズムー歴史と最近の展開

注意に関しては、色々な考えがあるみたいで、例えば、知覚しときに、自分に必要な情報を先に選び取り、その中から、意味を理解しようとするという順番か、近くする前に、自分に必要な情報に注意を向け、それらを知覚し、必要なものの意味を理解しようとする。というふたつのパターンが考えられます。
前者は、本を読んでいる時にこのような感覚にあるような気がしました。とりあえず、文字だけ追って行って知覚し、自分に必要な情報に注意を向け、意味を処理する。
後者は、会話している時に行われるような気がしました。大人数で会話をしている時などは特に、全ての会話を知覚すると、疲れてしまうため、自分に必要な会話にだけ注意を向け、知覚し、その意味を処理するという形だと思います。
これは、子供たちに、説明や伝えたいことがあり、子供が覚えていなかったり、聞いていない、ということがあることの大きなヒントになると感じました。

 

空間的な認識で、矢印がある方が、対象物を見つけるのは早くなるということなので、例えば、ディフェンスの時に、マークをして欲しい相手に対して、指を指すことで、少しでも指示が早く伝わるのだと思いました。

 

ある1つのものを探す時に、探す対象の物が、複数の特徴を持つ時と、1つの特徴を持つ時では、探すのにかかる時間が違うということがわかりました。また、複数特徴がある場合は、1つの特徴を導き出してから、その中で、ほかの特徴を抑制し、探していくということですが、1つの特徴を導き出して、それを手掛かりに探すこともあるそうです。

 

赤色のした文字が「あお」と書いてあった時に、あか、と答えるか、あお、と答えるかだと、あか、を答える方が早く反応できるということがわかりました。色そのものを見ることが、意味を理解することに繋がるのに対して、文字の意味を理解することが、どうしても時間がかかるということです。言葉でも同じで、話されたことを聞くことと、意味を理解することは別なこと。ということを常に頭に入れておかないと、子供が聞いてはいるけど、意味を理解していないということが有り得るので、常に確認することは大切だと感じました。

 

注意とワーキングメモリは、密接な関係にあるので、注意をコントロールするこは、ワーキングメモリの処理することも、精度をあげていくということになります。例えば、頭の中で、計算をするとして、計算する式を覚えることに注意をコントロールすることと、計算することに注意を向けることで、頭の中で、計算することが出来、これをワーキングメモリを使って計算しているということになります。サッカーでも、イメージを咄嗟に作ることは、ワーキングメモリを使って処理することと同じなので、注意をコントロールできるということは、非常に大切になってきます。

 

ワーキングメモリと注意抑制は、密接な関係にあるみたいです。注意を向けている方は、ワーキングメモリが活発に働き、抑制している部分は、ワーキングメモリもあまり活動しないようです。また、ワーキングメモリの容量は、4つとされており、短期記憶は、7±2とされています。同時に記憶して処理できるのが4つというのは、思ったよりも容量が少ないと感じましたが、注意をコントロールして、ワーキングメモリをしっかりと活性化できる方法を考えていきたいと思いました。ここでわかるのは、注意をコントロールすることが、ワーキングメモリを活用するスタート地点になりそうだということです。

 

注意を向けていない状態は、習熟したことに対しては、注意を向けなくても行うことが出来る。この時に、何かを思い出したりするというようなマインドマンダリングが起きたりするそうです。これは、車の運転中とかよく起きたりするなぁと個人的には思いました。逆に何かを習得する必要がある時は、そこに注意を向ける必要があるということです。

3.視覚性ワーキングメモリの容量と注意制御

ワーキングメモリの記憶容量は、スロットという考え方が濃厚みたいです。個人差はありますが、ワーキングメモリで記憶処理できるのは、4つ程度ですが、記憶する数が多くなればなるほど、精度が下がっていくということです。記憶を保持する時間も人によって個人差があり、保持する時間が長い人ほど、記憶の精度も高いということが報告されています。

 

ワーキングメモリの容量は、3つか4つと決まっているのですが、個人差によって、それよりも多く記憶できる人もいます。この違いは、記憶できるスロット(箱)が5つ、6つと多いわけではなく、記憶するべきものに注意をコントロールすることがうまく、不必要な情報を抑制することが上手だということです。複数のことを同時にやると、注意を分散してしまう習慣になってしまうため、注意をコントロールすることが下手くそになってしまい、記憶する容量や精度が落ちてしまうみたいです。
また、記憶して、アクセスすることができる容量は、3つか4つ程度ですが、アクセスは出来ないけど、記憶はできているという、フラジャイルワーキングメモリというものがあり、これは、ワーキングメモリの容量の4倍あるということです。人によっては、無意識という括りでいいのではないかと言う人もいるみたいですが、4倍の容量を処理できるようになったら、とても物事がスムーズに進んでいくのではないかと感じました。

4.注意し選択する脳ー不要な情報を排除する脳

知覚負荷が高いほど、必要な情報を選択することが困難になってくるということがわかりました。フィルターを通して知覚するのか、知覚してからフィルターを通すのかは、両方とも考えられるわけですが、知覚する負荷が高くなると、先にフィルターに通して知覚することになるみたいです。どれだけの情報を取り入れることが出来て、そこから選択するという精度は、ワーキングメモリによるということかもしれません。ワーキングメモリの容量によって、必要な情報を選びとる力が変わってくるということが言えます。

ワーキングメモリの容量について、注意抑制の精度が高ければ高いほど、ワーキングメモリ容量を多いということがわかりました。逆を言うと、ワーキングメモリ容量が多ければ、注意抑制の精度も高いということになります。個人的に思ったのは、注意抑制を鍛えるとワーキングメモリ容量が増えるということですが、ワーキングメモリを鍛えると自ずと注意抑制の精度も高まるという事だと思います。ワーキングメモリは、学習と大きく相関関係がありそうなので、教育者としては、避けて通れない道だなと思いました。

5.複数の注意と意識、脳

自分が注意を向けようという意思によって注意を向けたことをトップダウンの注意。自分の意識とは別に注意を向けたことをボトムアップの注意ということがわかりました。子供たちをトップダウンに持っていくためには、自分事に考える必要があると思います。サッカーがうまくなりたい。だから、自分の意思で考える。自分の意思で話を聞く。子供たちが自分事でサッカーを上手くなりたいと考えるようになるために、どのようなことを心がけなければならないのか常に学び続けたいと思います。

ボトムアップでは、注意を向けるスピードは、速いが、持続力が無く、トップダウンでは、注意を向けるまでに時間がかかるが、持続力が高いということがわかりました。
ワーキングメモリに負荷がかかった状態だと、変化や大切な事に気づかない事が多いみたいです。これは、とても面白いと思いました。色々教えて、ワーキングメモリに負荷がかかった状態のトレーニングは、子供たちに考える余裕や気づきの余裕を奪ってしまうことになります。教えても1つということを頭に入れて、後は、子供たちに余裕を持たせることが大切だと思いました。

トップダウンの注意には、2種類あり、今現在に注意を向けることと、これからすることや、予期することに注意を向ける長期的なことがあります。人の話を聞く時は、今現在に注意を向けることであり、これからどのようにプレーするかイメージをすることは、注意の構えという形になるのだと思います。どちらにしても、サッカーを上達する上で必要なトップダウンの注意を高めていくことは、必須条件になりそうです。

6.注意性のマスキング

注意をコントロールし、記憶して思い出すという作業は、明るいところよりも暗闇になれた方が活性化しやすいということがわかりました。これは、練習会場が暗い、うちにとってはとても朗報です。確かに言われてみれば、4対4をやる時など、コーチの自分でもやりにくいなぁって思いながらやっていたわけですが、暗くて毎回どこにどの選手がいるか確認するというよりも、必死で記憶しようという意識が強かったような気がします。そこで、確認することを疎かにしてはいけませんが、記憶して予想することはとても良いことなので、こういう事実があることは、予め選手達に理解させておく必要があると思いました。

知覚刺激の後に、知覚のカテゴリー分けがあり、意味を処理するという順番になっていくのですが、カテゴリーに分ける前に、ここで知覚を受けたことというのは、情報にガサが入るようです。ここで受けた知覚を正確にカテゴリー分けすることが出来れば、感じたことや見たこと、聞いたことなどを正確に意味通り理解できるということがわかります。とはいえ、この知覚の精度をあげるというトレーニングは、わからないのですが、知覚は所謂、直感にも共通するような感じがあります。選手の呼吸や足音、雰囲気に気づく、所謂、第六感を鍛えることに近いものがあるのではないかと感じました。

7.注意の瞬きの脳内表現

注意の瞬きという、注意を切り替えるのに0.5秒かかるということがわかりました。例えば、いきなり話しかけられた時に「えっ?」というふうになるのは、注意の瞬きによるものだと思いました。注意にも、コントロールする脳の部分と切り替える脳の部分が違い、違う力なんだとわかりました。切り替えることが出来ても、適切な場所にコントロール出来なかったりするということがあるということです。

抑制モデルは、1つ目の刺激を受けてから、その刺激の意味を理解するまでの間に妨害刺激が入り、意味を理解することが出来ず、妨害刺激の方に注意資源がさかれてしまうことを言います。本を読んでいる時も、目では字をおっていて、刺激は受けているけど、妨害刺激、例えば、違うことを考えてしまっていて、そちらに注意資源がさかれてしまい、意味を理解することが出来ないことだと思います。意味を理解するまでが注意をコントロールすることであり、注意を切り替えるという作業もまた別のことです。
例えば、友達同士で、お話している子に対して、いきなり、練習のルールの説明をしたら、注意はこちらに向いていないので、聞き逃す可能性が高くなります。一度、こちらに注意を切り替えさせるという作業が必要となると思いました。

8.視覚情報の容量制約ーピクチャースパンテスト

記憶を思い出す時は、一度にひとつしか思い出せない。この場所には、何があったかなと思い出している間は、他のことを思い出せないようです。

変化の見落としという現象は、ただ単にぼーっと見ている時と、変化を見つけようとして見ている時と、脳を使っている場所が違うということがわかりました。例えば試合中に、スペースを意識して見つけようとするのか、ただ、漠然と見るのかでは、脳の働き方が異なってくるという事だと思いました。意図的にチャンスを作り出すことを意識することが大切だと思いました。

知性とは、ただ単純に、記憶力を指すのではなく、必要な情報を選びとって記憶するという事だそうです。さっかーでも、認知→判断→決断→実行という順番に選手がプレーしていると言われていますが、認知と判断と決断の間には、認知の段階で、決断出来ている選手が必要なのではないかと思いました。自分にとって不必要な情報を、認知の段階で、如何に排除しておくかということは、個人的に思ったのは、試合をこなす経験値であったり、ポジションによる経験値が大きいのではないかと思いました。